会長挨拶
日本脊椎関節炎学会 第33回学術集会 会長 岡本 奈美 (独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院 小児科 部長) |
第33回日本脊椎関節炎学会学術大会は、2023年9月9日と10日に神戸市で開催いたします。第30回の秋岡親司先生に続き二人目となる小児科医の開催する大会です。テーマである「開雲見日」とは、暗雲が吹き払われ、再び光明や希望を見出すことや、疑惑や誤解が解けることを表わすことばです。医療の進歩、研究の発展、治療薬の革新、疾患教育や疾患啓発、診療科連携など、脊椎関節炎に携わる人々の努力によって、脊椎関節炎診療はここ数年で大きく進歩してきました。一方で、2020年初頭に始まったパンデミックは長く我々の生活や健康を脅かし続け、「new normal」という概念を定着させました。未曽有の経験から学び進化を遂げた分野もあった半面(免疫の研究やオンラインツールなど)、臨床・教育・研究すべての面で医学界に大きな影響を与え、特に「フロアからの活発な質問」がない学会はとても寂しいものとなりました。少しずつ、ワクチン接種や感染対策への配慮等により対面・現地開催への流れがでてきておりますので、皆様と美しい神戸の街で出会えるよう鋭意準備を進めて参りますが、開催形態につきましては直前の社会情勢を鑑みて柔軟な対応を行います。
本学会は1989年10月に「日本AS研究会」として発足し、2010年から日本脊椎関節炎学会となって、現在は厚労省の難治性疾患政策研究班とも共同しながら疾患の研究・啓発・標準的な診療体制の整備に携わってきました。Umbrella diseaseとよばれる脊椎関節炎には、主治医となる内科、整形外科、皮膚科、小児科に加え、放射線科、眼科、消化器内科など、多くの科や職種が関与します。各人・セクションがうまく連携して総合的な診療を行うために、「成長」という豊かな森の中で、縦の糸を横の糸を滑らかに織り上げていく小児科医の役割は大きいと考えます。
今回、プログラム編集委員の先生方とともに、たくさんの魅力的なテーマをご用意しました。また、dragon awardと称して、若手優秀演題賞も企画いたしました。皆が集まって学術の話題に花を咲かせる森に、雲の合間から清らかな光が差しこみ、若手が龍となって成長していく、そんな2日間になることを祈ってポスターを作成しました。写真は布引の滝からの神戸の風景です。会場の近くからロープウェーで上がれますので、お時間あれば足をお運びください。また、会場周辺は観光で有名な北野の異人館街です。山と海、自然が溶け込んだ異国情緒あふれる神戸で皆様をお待ちしております。