当番世話人挨拶
当番世話人 市川 大輔
(山梨大学医学部 外科学講座第1教室)
この度、2027年6月17日(木)・18日(金)の2日間の日程で、第36回癌病態治療研究会を山梨県甲府市にて開催させていただくこととなりました。本研究会は、癌病態の解明と、それに基づく新たな治療戦略について、領域の垣根を越えて議論を重ねてきた歴史ある研究会です。私自身も本研究会を通じて、癌病態の本質を理解することの重要性、そしてその理解を日々の診療や研究へ結びつけることの意義を学ばせていただきました。このたび、このような伝統ある研究会の当番世話人を拝命し、大変光栄に感じております。このような機会をお与えいただきました役員の先生方、並びに会員の皆様に厚く御礼申し上げます。
今回のテーマは、「病態理解が切り拓く癌治療の未来」とさせていただきました。近年、癌治療は大きな転換期を迎えています。外科治療では、拡大手術による治療効果に一定の限界が示され、手術・薬物療法・放射線治療を組み合わせた集学的治療の重要性がますます認識されるようになりました。一方で、薬物療法では分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の進歩により、これまで治療困難であった症例にも優れた治療成績が報告されています。しかしながら、同じ癌種・同じ病期であっても、個々の患者さんの癌病態は決して一様ではなく、さらに癌組織の多様性や、腫瘍微小環境、宿主免疫、全身状態などが複雑に関与し、それぞれ異なる治療反応性や臨床経過を示すことが明らかになってきています。また、超高齢社会を迎え、併存疾患やフレイル、栄養状態など患者側の因子を踏まえた治療選択の重要性も高まっています。
外科領域では、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術などの低侵襲治療が飛躍的に進歩しました。しかし、いかに優れた治療技術であっても、その適応や治療戦略を適切に選択するためには、癌の進展様式や生物学的特性、さらには患者背景を含めた病態を深く理解することが不可欠であると考えています。本研究会によって、癌病態に関する最先端の研究成果を共有するとともに、癌治療の本質を改めて見つめ直す機会となり、若手の先生方にとっても新たな研究や診療への一歩を踏み出す契機となることを願っております。
山梨の地に多くの先生方にお集まりいただき、基礎と臨床、内科と外科、医師とメディカルスタッフの枠を越えた活発で実りある議論が交わされる研究会となりますよう、医局員一同鋭意準備を進めてまいります。初夏の山梨にて、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。