会長挨拶
第8回日本不育症学会学術集会会長のご挨拶
2026年6月13日にJPタワー名古屋において第8回日本不育症学会を開催いたします。2017年10月21日に名古屋で開催された研究会を含めて第9回目となります。本学会は2015年度に名古屋市立大学不育症研究センターが文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定され、その事業の一環として設立された経緯があるため、当初名古屋で開催されていました。その後、北海道、東京、岡山と開催地を移し、今回、再び名古屋に戻ってきました。その間に会員、認定医は少しずつ増えました。
本学会は不育症を「流産あるいは死産が2回以上ある状態」と定義しました。日本産科婦人科学会発刊 産科婦人科用語集・用語解説集改訂第5版(2025年5月刊行)も本学会の定義を尊重し、この定義に変更していただきました。定義は研究・臨床の基盤であるため、日本の研究が国際的に通用するように、欧州生殖医学会 (ESHRE)と米国生殖医学会(ASRM)の定める「RPL;two or more pregnancy loss」を踏襲しました。
特別講演は京都大学成長戦略本部の古川壽亮教授にお願いしました。古川教授は東京大学を卒業後名古屋市立大学精神科に入局され、1995年には世界に先駆けて不育症の心理社会因子の共同研究を企画して頂きました。その後、名古屋市立大学教授を経てご出身の京都大学でご活躍されています。古川先生からは、研究デザイン、臨床研究のエビデンスレベルなど、臨床研究の基本を教えて頂きました。prospectiveな臨床研究を心がけるようになり、Lancet, Fertility & Sterilityに論文が掲載されるようになりました。本学会の若い会員の皆さんに質の高い臨床研究を学んで頂く機会になることを願っています。
名古屋市立大学には半世紀にわたる習慣流産・不育症研究の歴史があります。その研究成果からたどり着いた不育症の4大原因は、抗リン脂質抗体、先天性子宮形態異常、カップルの染色体構造異常、胎児(胎芽)染色体異数性です。本学を含め世界中の多くの研究成果から、出産率は女性の年齢と既往流産回数で決定することがわかっています。そのため当院では精査の結果、多くの患者さんに対して薬物治療をお勧めしていません。それでも、当院の出産率が高いことを自負しています。限られた検査と治療で高い出産率、名古屋市立大学のコスパ最高!です。この高い出産率は、主に抗リン脂質抗体の選択です。当院では、3種類のLupus Anticoagulantと2GPI依存性抗カルジオリピン抗体を厳選しています。不育症に対する出産率改善が証明されていない検査がたくさん出回っています。患者さんは自分が受けている検査がそのような証明がされていない、あるいは質の低い研究で示されているのみ、であるとは思ってもみないでしょう。
本学術集会のテーマは「出産率改善を目指して!」です。多くのご発表をお待ちしています。
|
名古屋市立大学大学院医学研究科 不育症研究センター長 杉浦 真弓 |
![]() |
