大会会長挨拶
日本認知・行動療法学会第48回大会を、2022年9月30日(金)~10月2日(日)に宮崎で開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。
新型コロナウィルスの影響により、この2年間の本学会年次大会もオンラインによる開催になりました。コロナ禍においても、認知行動療法の発展の歩みを止めることなく日頃の研究成果等を共有できたこと、会場に行きにくいご事情がおありの方々の参加も可能になったことに、今後の大会開催の新しい形が見えたように感じました。その一方で、リアルなコミュニケーションについて改めて考える機会にもなり、相手の表情や息づかいを肌で感じながら関わることで相互理解が促されることを再確認した2年間でもありました。現在も予断を許さない状況ではありますが、社会経済活動は少しずつ再開しています。現在の状況とこの2年間の経験をふまえて今年度の大会については、感染対策を講じながら現地集合型開催に比重を置きつつWEB配信を加えたハイブリッド方式で行う予定にしております。
さて、Society5.0の到来は、フィジカル空間とサイバー空間の高度な融合によって、新たな価値の創造と社会の変革をもたらすと言われています。認知行動療法を含む心理学分野においても、technologyの積極的な活用を図るとともに、従来のクライエントと直接向き合う臨床実践の形態を取ることの意義を見つめる時期が来ていると思います。また、最近「社会実装」というキーワードを耳にすることが多くなっています。本学会は創立当初から一貫して、認知行動療法に関する基礎理論の研究、治療技法の開発、種々の問題行動や症状への臨床介入研究から得られたエビデンスを心理支援の実践に応用する姿勢を貫いてきました。しかし、社会全域を見渡すと、認知行動療法を必要とするすべての方々への十分な情報・支援の提供という点においては、さらなる取組・工夫の余地があるように感じられます。殊に地方になるほどその傾向は強まることから、今回の大会テーマを「Accessibility of CBT ~CBTが必要なすべての人へ・必要なときに届けたい~」とし、遠隔による認知行動療法をテーマとした大会企画シンポジウムを計画しました。また、学校教育現場からのニーズが高まっているスクールワイドPBSのシンポジウムでは、この領域の研究・実践をリードする先生方にご登壇いただくことになりました。他にも2010年に宮崎県で発生した口蹄疫ウィルスとの戦いと新たなスタートをテーマとしたパネルディスカッションを、最前線で防疫対策やメンタルヘルス支援に取り組まれた先生方、甚大な被害からの再出発に向けて活動している方々にお願いしています。もちろんワークショップ、委員会企画シンポジウム、ケーススタディ等も企画し、皆様にとって有用な学びの機会になるよう準備を進めてまいります。
今後の予定ですが、演題募集期間は、一般演題(ポスター)が4月19日(火)~6月1日(水)、自主企画シンポジウム並びにケーススタディは4月19日(火)~5月17日(火)、事前参加登録は7月1日(金)からを予定しています。
コロナ感染症の状況の見通しが立ちにくい状態ではありますが、皆様にはなるべくご不便をおかけしないように努め、変更等が生じた際にはその都度お知らせしてまいります。10月の宮崎は、豊かな自然と魅力的な食材があふれる時期でもあります。ぜひ多くの皆様のご参加をスタッフ一同心よりお待ちしています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2022年3月吉日
日本認知・行動療法学会第48回大会
大会会長 戸ヶ﨑 泰子