会長挨拶
第57回日本脊髄障害医学会 会長 渡辺 雅彦 (東海大学医学部外科学系整形外科学 教授) |
この度、2022年11月17日(木)・18日(金)にパシフィコ横浜会議センターにおいて、第57回日本脊髄障害医学会を開催させていただきます.伝統ある本学会を私ども東海大学が担当させていただけることを大変光栄に存じております.また個人的には、学位研究を初めて発表させて頂いたのが1994年旭川で開催された日本パレプレジア医学会であり、四半世紀以上を経て本学術集会を担当させていただくことに特別の感慨を覚えております.それに加えて、当時日本パレプレジア医学会事務局が慶應大学にあったことから、毎回印刷した会議資料を数名で手分けして学会場に運び各種委員会の準備をさせて頂いたことも良い思い出となっています.活気溢れる学術集会を目指したいと思います.
さて、本会のテーマは「脊髄障害に対する多面的かつ包括的アプローチ―連携から生まれる革新―」とさせていただきました.日本脊髄障害医学会は、医師は脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション科、腎泌尿器科、整形外科、さらに看護士や理学療法士をはじめとする多くの職種の方々が気持ちを一つに脊髄障害に対するcureとcareを目的とする、他に類をみない学際的な学会です.それを言葉とし、テーマといたしました.脊髄障害に対するアプローチは多くの基礎研究もなされ、徐々に臨床応用へと進み、一歩一歩進んでいます.しかしながら、現実の臨床では永続する障害に加えて、社会復帰へ向けてのリハビリテーション、それを行う施設間の連携、受け入れる社会環境、患者さんの精神的な問題や性の問題、等々、これまで動もすると十分に議論や検討がされてこなかった問題も多々あるように思います.今一度、脊髄障害の患者さんに対して、患者さんの視点に立った全人的なフォロー・介入を見つめ直す機会が必要ではないかと思っています.そして、それは一つの職種で為せる物では無く、多くの人・職種の連携が必要であり、そこに日本脊髄障害医学会のプレゼンスがあると私は考えています.この2年間はコロナ禍により、集うこと、対面でのディスカッションが十分にできませんでした.第57回本学会では、久しぶりに皆で集い、連携からの全人的なフォローアップについて討論し、新たな一歩を生み出せればと思っております.本学会が、「脊髄障害患者さんの社会復帰」を少しでもお手伝いできる実り多いものとなることを祈念いたしております.皆様のご協力を何卒よろしくお願いいたします.