会長挨拶

この度、第37回日本脊髄外科学会の会長を拝命した今栄信治と申します。本会は2022年6月16日（木）～17日（金）の2日間、並びに教育セミナーを2022年6月18日（土）に和歌山市の和歌山城ホールにて開催させて頂きます。伝統ある本会を担当させて頂けますことを大変光栄に存じます。

日本脊髄外科学会も発足以来長い年月を経てきましたが、現在も有訴者率の高い腰痛やしびれの原因として、脊椎や脊髄に起因することが多い病態であることを知っている一般の人はいったいどのくらいいるでしょうか。「腰痛なら整骨院？」「しびれなら鍼灸院？」と受診科すらわからない患者さんは多いでしょう。昨今の高齢者社会では脊椎脊髄疾患の患者さんが増え、本人のみならず、お世話をする家族の負担も大きくなってきています。そういった患者さんと家族の健康的な生活を保障し、双方のQOLを高めることが我々の任務です。言うまでもなく機能的外科である脊椎脊髄外科は、手術一辺倒ではなく、リハビリテーションや投薬などの保存的療法があります。患者さん一人一人と向き合い、適切な治療を選択しなければなりません。その基本が、長い年月でおざなりになってはいないでしょうか？ここで原点に戻って「脊椎脊髄外科の有識率を高め、脊椎脊髄外科を受診した患者さんに対して科学的な画像診断から手術適応までの判断を的確かつ正確に行う」これを本学会の理念として掲げたいと思います。

あわせて、今回の学会テーマを「For the patient」とさせていただきます。病態を見極めて、その患者さんに最も有効な治療法を導き出す「For the patient」について考える学会です。そのコンセプトとして私が常々考えているモットーは、「診てやるではなく、診させて頂く。自分の親や子供と思って日々診療すること」です。患者さんにとって最良、最善は何かをとことん追求したいと思います。学会のテーマとしては風変わりで幼稚かもしれませんが、医師としての信念や、医師と患者さんとの信頼関係について見つめ直すきっかけになれば幸いです。

開業医としては初めての主催学会になります。諸先輩方のご指導を受けながら、日々の診療や研究を通じて得られたより良い治療が、数多くの患者さんやご家族に届くような有意義な学会になるよう尽力致します。また2022年6月ということで、コロナワクチン接種が今後も円滑に進み、現地開催が可能であることを期待しています。

徳川御三家の紀州8代将軍吉宗公のお膝元、天守閣が素晴らしい和歌山城を真横に見られる、新しく建設された会場でお待ちしております。

皆様のご参加を心よりお願い申し上げます。

2021年6月