会長挨拶

第43回日本疼痛学会

会長 富永 真琴

(生命創成探究センター 生理学研究所 細胞生理研究部門)
会長

第43回日本疼痛学会の会長をつとめます生理学研究所の富永真琴です。愛知医科大学牛田享宏先生、順天堂大学井関雅子先生からバトンを受け、基礎痛み科学の研究者として「痛み研究の進むべき道」をテーマに開催する第43回日本疼痛学会まで2ヶ月足らずとなりました。おかげさまで、13のシンポジウム、4つのランチョンセミナーの企画をお願いすることができました。コロナ禍でWEB開催となりましたが、シンポジウム講演者として外国の痛み研究者にも加わっていただくことができ、また、3人の米・アジアの研究者に特別講演をお願いして、少し国際的な学会になりました。2人の日本人痛み研究者にも招待講演をお願いしております。これまで、東洋医学の領域の方々はあまり多く日本疼痛学会に参加していただいていませんでしたが、今大会では2つのシンポジウムを日本鍼灸学会と日本東洋医学会との共催にすることができ、痛み研究と治療に関する西洋医学と東洋医学の将来の融合に道を開くものではないかと考えています。また、「厚生労働省地域ネットワーク事業共催講演会」「IASP-JASPファイザー奨学金ミニシンポジウム」も企画することができました。一般演題も43題集まりました。皆様のご協力に心から感謝申し上げます。

ご存じのように、2021年のノーベル医学生理学賞受賞者の一人は、アメリカ カリフォルニア大学サンフランシスコ校のDavid Julius教授です。私は1996年から1999年にJulius研究室に在籍して、受賞業績であるカプサイシン受容体TRPV1の遺伝子クローニングと機能解析に携わりました。TRPV1の発見は、世界の「分子からの痛み研究」を大きく推進しました。Julius教授がノーベル医学生理学賞を受賞される年に私が日本疼痛学会会長を務めることに運命を感ぜずにはいられません。加えて、1997年のカプサイシン受容体遺伝子クローニング論文の筆頭著者の現ジョンズホプキンス大学Michael Caterina教授に特別講演を賜ることもこの上ない幸せです。カプサイシン受容体遺伝子クローニングのインサイドストーリーをうかがえるものと思います。

こうした素晴らしい企画の数々をより多くの方に楽しんでいただくために、本会の参加費は所属学会に関係なく「医師10,000円、医師以外5,000円、学生無料」とすることに決定しました。本会に日本疼痛学会会員に加えて幅広い領域の痛み研究者が集い、発表し、議論して、「痛み研究の進むべき道」を見つけていただければと思います。多くの方が本大会に参加してくださることを、心から願っています。

2021年10月吉日

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