大会会長挨拶
日本認知・行動療法学会第50回記念大会を、2024年9月22日(日)~9月24日(火)にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい)を会場として開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。
本学会の前身である行動療法研究会が1974年12月に発足し活動が開始してから、50年が経ちますが、その間さまざまなことに取り組んで来ました。その1つに世界認知行動療法会議(WCBCT)の2004年日本開催を挙げることができるでしょう。認知行動療法の最前線を学べるWCBCTの日本開催は、認知行動療法についての理解を促進し、多くの方に関心をもっていただくきっかけとなりました。さらに、創立40年目は、「日本認知・行動療法学会」 への名称変更と一般社団法人化を行い、その記念となる第40回大会では、「認知行動療法のポテンシャル」というテーマの下、認知行動療法の発展の方向性を幅広く議論し、認知行動療法という新風を全国に届ける大会となりました。このように本学会は、歩みを止めることなく発展し続け、認知行動療法に関するわが国で最も長い歴史を持つ、日本学術会議協力学術研究団体となりました。現在では、2,500名を超える学会会員が、医療保健、教育、福祉、司法・矯正、産業・労働などの活動領域において活躍しており、認知行動療法は、メンタルヘルスの維持・増進に貢献する心理臨床の理論と技法のグローバルスタンダードとして広く認知されるようになりました。
50周年を迎える今大会においては、大会テーマを「認知行動療法の次なる一歩:これまでの実績とこれからの挑戦」とし、認知行動療法に関する研究・臨床・教育・研修活動の更なる発展と新たな展開、そしてこれからの社会実装に向けた活動の充実を目指して、多様な方々と多面的な視点からの深い議論を交わすことを目的としております。現代は、VUCAの時代と言われているように、ITやAIの急速な進展の一方で、感染症流行や、地震や台風などの災害、紛争・戦争など想像を超える深刻な事態も起きています。今こそ先行き不透明な時代を切り拓き、新たな価値を創造し、次なる一歩を踏み出す挑戦が求められていると言えるでしょう。そのためにも、50年前の心理学界においては新しい心理療法であった行動療法の理論に基づき臨床実践を蓄積し、客観的エビデンスを発信してきた本学会の基盤を作った諸先輩の開拓精神を振り返る機会が必要と思います。その上で、新時代に即応しながらpsychologyとtechnologyの積極的な融合を図り、次なる一歩を踏み出し、次の時代にしっかりとバトンをつなげるためには何が必要なのかを真正面から見つめ、議論を交わす機会が必要と考えます。
本大会では、本学会の歴史の中で培われた理論とエビデンスを踏まえつつ、これからの多様な展開を意識したプログラムを準備しております。例えば、特別講演では、英国認知行動療法学会理事長でいらっしゃるStirling Moorey先生に「認知行動療法における治療関係」についてご講演いただきます。アジア認知行動療法学会(ACBTA)にも本大会を盛り立てていただく予定です。また、大会企画シンポジウムとして「認知行動療法の次なる一歩:これまでの実績とこれからの挑戦」や「認知行動療法の近未来」なども企画しています。もちろんワークショップ、教育講演、ケーススタディなども企画し、全国から参加される会員の皆様はもちろん、認知行動療法に関心をお持ちの多くの非会員の皆様の、活発な情報交換の機会になるよう準備を進めております。
今後の予定ですが、演題募集期間は、一般演題(ポスター)が3月6日(水)~5月10日(金)、自主企画シンポジウム並びにケーススタディは3月6日(水)~4月16日(火)、事前参加登録は5月から開始する予定にしています。
会場であるパシフィコ横浜は、アクセスのよい会場です。最終日は平日の開催となりますが、魅力あるプログラムを企画しておりますので、多くの皆様のご参加をスタッフ一同心よりお待ちしています。
大会会長 戸ヶ﨑 泰子(宮崎大学大学院教育学研究科)