会長挨拶
第38回日本脊髄外科学会
The 14th Annual Meeting of Asia Spine
会長 原 政人
愛知医科大学脳神経外科・脊椎脊髄センター 教授
The 14th Annual Meeting of Asia Spine
会長 原 政人
愛知医科大学脳神経外科・脊椎脊髄センター 教授
第38回日本脊髄外科学会会長を拝命し、2023年6月15日(木)、16日(金)の2日間、(木)名古屋市のウインクあいちにて日本脊髄外科学会を開催することになりました。また、第14回ASIA SPINEを6月16日(金)、17日(土)に同時開催させていただきます。この2つの学術集会を同時開催することにより、日本における脳神経外科による脊椎脊髄外科の伝統を振り返り、国際的な立ち位置を再考する機会になるものと期待しています。
しかし、収束したかのように見えたコロナ禍との戦いが現在再燃しつつあり、各国の対応が分かれ混沌としています。相変わらず閉塞感漂う日本において、如何に発展的に学術集会を開催できるかを考えてまいります。現時点では、アジアの先生方ともface to faceで議論が交わせることを期待しております。
さて、今回の学会のメインテーマは『仁と芸道』と致しました。副題としては、‘寄り添う気持ちと技術の伝承・発展’としています。これまでに脳神経外科の先達が築いてくれた低侵襲技術の継承とさらなる発展を目指さなければなりません。健常組織の障害を最小にして最大の効果を得ることはもちろんのこと、確実な神経減圧をいかに成し遂げるかが重要です。しかし、私自身、末梢神経にまで高位診断の範囲を広げる重要性を思い知らされることが多々ありました。手術結果が思ったほどでなかった場合、患者と真摯に向き合い、その原因を究明する努力が必要です。医師の基本は、人を思いやることのできる『仁』の心を持っていることであり、そのうえで技術を高め、手術自体が芸術にまで昇華するほどになれば、患者への恩恵はさらに高まります。芸には学問という意味もあります。学問を究めたいと考えている人は多く、人それぞれの『道』を追い求めているものと思います。脊髄外科学という狭い範囲においてでも、興味を覚える分野は人によって異なっているものと思います。
今回の学術集会では、それぞれの『道』を示していただき、いろいろな考えに触れ、心に触れるものを持ち帰っていただけたら幸いと考えております。日本の良いところを再発見し、グローバルに発信し、脊椎脊髄外科領域においてもプレゼンスを上げることができるよう皆様のご指導とご鞭撻および学術集会へのご参加をよろしくお願い申し上げます。